まずは、「カボチャ」という植物がどういうものであるかを理解する必要がある。 「カボチャ」というのはある意味俗称の一つで、植物学上はウリ科カボチャ属(Cucurbita)に所属する植物である。概して蔓性で、巻きひげを持ち、それによって他のものに絡みつき、数メートルもの長さにまで成長する。 現在、カボチャ属に属する植物は13種ないしは30種あるとされ、この中で栽培されるのはセイヨウカボチャ(C.maxima)、ニホンカボチャ(C.moschata)、ペポカボチャ(C.pepo)、クロダネカボチャ(C. ficifolia)、そしてミクスタカボチャ(C. argyrosperma)の6種である。さらに、我が国で経済的栽培がなされるのはこれら6種のうち、セイヨウカボチャ、ニホンカボチャ、ペポカボチャの3種である。クロダネカボチャは病害虫に弱いウリ科野菜の苗の台木としての栽培がほとんどで、ミクスタカボチャに至ってはわが国ではほとんど無名の種である。 なお、「カボチャ属」に属する植物は大まかに2種に分けることができる。一年草であるものと、多年草であるものである。 現在、野菜として各地で栽培されるカボチャ類はほとんどが一年草であるが、一部例外もある(クロダネカボチャは多年草である)。 また先程、「つる性植物」であると説明したが、栽培種カボチャの中には蔓が伸びなくなったものが栽培されている。これらは栽培するにあたってそれほどの面積を必要としないので、家庭菜園の愛好者の人気を博している。 カボチャ属の栽培種は、5裂した掌状分裂葉と長い葉柄をもち、葉序は互生である。いくつかの種では茎が角ばっている。また、葉や茎には柔らかい棘状の短い毛が生えており、触るとチクチクとした痛みを覚えることがある。 夏~秋に黄色または橙色の花を咲かせる。雌花と雄花の二種類があり、いずれも同じ株に咲き、雌花が果実を、雄花が花粉を作る。花粉は蜂によって媒介されるが、現在はより確実に果実を収穫するために人工授粉することが増えている。受粉が成功すると果実を実らせる。果実は大小や形状が様々で、表面の「外果皮」と多肉質な「中果皮」「内果皮」からなる。この「外果皮」「中果皮」「内果皮」からなる果実を「ウリ状果」という。この果実のタイプは、カボチャ属のみならず、ほとんどのウリ科植物に当てはまる。 現在栽培されるカボチャ属の植物は、同じ属ながらも変異が豊富である。よって、以下の表にその区別方法を示すこととする。区別方法はMAS YAMAGUCHI著『世界の野菜』(1985年、養賢堂)を参考にし、原点において研究が進んで改められた部分も加味した。