カボチャの歴史で述べたように、セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)はわが国には幕末~明治期にかけて渡来した。現在、我が国において経済的栽培されるカボチャはほとんどが本種である。 セイヨウカボチャは大まかに以下の分類に分けることができる。分類方法は高嶋四郎著『原色日本野菜図鑑 増補改訂版』(1980年、保育社)を参考にした。 【ハッバード群】 東北地方や北海道でかつて多く栽培されていた品種である。かつては「ナタワレカボチャ」とも呼ばれた。果実の形状はラグビーボール型で先端がとがり、果皮は黒緑色ないしは橙赤色で厚く、表面は平滑かややごつごつしている。果肉は鮮やかなオレンジ悪露で、粉質。「トゥルーハッバード(グリーンハッバード)」「ゴールデンハッバード」などが代表品種である。 【デリシャス群】 現在の主力品種の系統である。果実の形状はハート形ないしは偏球形である。果皮は厚いが、たいていは平滑である。果皮の色は黒緑色ないしは灰色、橙赤色、灰色がかった青緑色である。「ハッバード群」より促成栽培に適するため、次第にとってかわられた。「中村早生(成金南瓜)」や「芳香青皮栗(東京南瓜)」「黒皮甘栗」「打木赤皮甘栗」等はこのタイプである。現在人気の「えびす」は「芳香青皮栗」と「黒皮甘栗」を交配させたF1品種である。 【ターバン群】 花冠の蜜盤が発達し、花痕部の周囲が大きなボタン状のへそになる珍しい品種である。果皮の色は黒緑色ないしは灰色、橙赤色である。代表品種に「ターバンスカッシュ」や「バターカップ」「土平南瓜」「蔵王南瓜」「会津赤皮栗」など。 【マンモス群】 果実が巨大になる品種である。果肉は薄いオレンジ色だが、水分が多くて食用に適さず、普通コンテスト用か家畜飼料に供する。古くは「ポンキン」「ブタカボチャ」と呼ばれた。代表品種に「アトランティック・ジャイアント」「マンモス・チリ」「ショ―キング」「ビッグマックス」などがある。