ペポ種は、我が国のカボチャ類の中でいかんせんなじみが薄い部類である。それは、ペポ種が食用野菜として用いられた期間が日本種や西洋種に比べてかなり短いためであろう。高嶋四郎著『原色日本野菜図鑑』では、ペポ種を以下のように大別している。 【コネティカット・フィールド群】 果実の形状は扁球形ないしは真球形で、果実は縦溝が入る。果皮は橙色で、英語圏でPumpkinと呼ばれるものの大半がこの系統である。果肉は西洋種のように黄色だが、水分が多くて甘味が少ないので、パイ用にするか飼料用、ハロウィーンの観賞用とする。代表品種に「コネティカットフィールド(Connecticut field)」「ハウデン(Howden)」「ジャック・オー・ランタン(Jack o' lantern)」がある。 【ベジタブル・マロー群】 果実は円筒形で、表皮はこぶ状にならずにすべすべしており、果皮色は薄い黄色か淡い緑色、ないしは濃い緑色である。果肉は繊維質で、品種によってはゆでるとこの果肉がほぐれてくるものもある。草姿はつる性かまたは矮性である。葉は品種によって白い模様が入ることがある。代表品種に「ズッキーニ?」「金糸瓜?」。 【クルック・ネック群】 果実は鶴首型になり、一見するとニホンカボチャの鶴首群を小さくしたような見た目をしているが、果皮色は鮮やかな黄色またはオレンジ色で、表面はちりめん状の細かなこぶがある。未熟な果実を野菜として食用にするほか、熟して果皮が硬くなったものは「オモチャカボチャ」として観賞用にする。代表品種に「アーリー・サマー・クルックネック(Early Summer Crookneck)」「イエロー・ストレイトネック(Yellow straightneck)」。 【ホード・フック群】 概して草姿がつる状ではなく矮性になり、株の根本付近に果実を実らせるのがほとんどである。果実は先端の尖る球形で、深い縦溝が入る。この果実の形状はさながらホオズキを思わせる見た目で、古くは「ホオズキカボチャ」とも呼ばれた。セイヨウカボチャほどではないもののしっかりとした風味を持っており、英語圏では秋野菜として人気である。代表品種に「テーブルキング」「錦甘露」「F1ハニーべア」が知られている。 【パティ・パン群】 果実がいわゆる「UFO型」になる品種で、周囲がボコボコと飛び出たような珍しい品種である。草姿は矮性で、株の根元に果実を実らせる。果実色は白、黄色、黄緑、深緑、橙色など多彩。若い果実を野菜として食用にするほか、熟して果皮が硬くなったものは「オモチャカボチャ」として観賞用にする。代表品種に「F1サンバースト」「カスタードホワイト」「グリーン・ティント・スカロップ」がある。 【オーナメンタル・ゴード群】 秋になると、八百屋や花屋で「オモチャカボチャ」「花カボチャ」という名称で売られる小型カボチャのほとんどがこの系統の品種である。果実は手のひらに乗るほど小さくて様々な形状があり、楕円形や球形、スプーン型やUFO型など多彩で、果皮は平滑なものやこぶ状になるものなど様々。色合いも緑色、黄色、白、橙色、斑点のあるもの、縦縞のあるもの、果実の半分が黄色でもう半分が緑色の品種も知られる。果肉は繊維質で硬く、品種によっては特有の青臭さもあるので食用には向かず、観賞用とする。品種によっては果皮がひょうたんのようにカチカチに硬くなる。 本ページでもそうした分け方を一応は採用するが、現在栽培される品種の中には区分が難しい品種も存在する。よって、本ページでは「その他」の項を設けることとする。