カボチャの栽培方法 のバックアップ(No.1)

本ページでは、カボチャの育て方について解説する。
実は、カボチャは作物の中では栽培が簡単な方である。品種によっては痩せた土地でも育つし、ウリ類の中では病害虫に強く、「連作障害」が発生しにくい。作物は、同じ場所で栽培し続けると病気や害虫の被害を受けやすくなったり、収穫量が激減したりする。これを「連作障害」というのである。カボチャは、こうした障害とはほとんど縁遠い作物で、状況によっては腐ったカボチャを放り込んでおいたところから芽が出て、そのまま育って果実が実った…ということが起きやすいのである。
さてここからは、カボチャの育て方と、育てるうえで気をつけた方がよい次項について解説していこう。

土づくり Edit

 カボチャはつるが広がるので、かなり広い面積を必要とする。具体的な数値で表すと、株間が70㎝間隔で、3mほど横につるを伸ばしていく。このため、これを加味して植える場所を作るのがよいだろう。蔓を畑の外に向けるよう勧めている文献もあるが、ご近所トラブルの観点から、あまり蔓を畑の外に出そうとするのはお勧めできない。
ズッキーニはカボチャ類の中ではつるこそ伸びにくいが、やはり横に広がるようにして成長するので、カボチャよりは狭い感覚でよいものの、それなりの感覚を必要とする。
植え付け2週間前には、1平方メートルあたりに堆肥を10L、苦土石灰50g程度を混和して耕し、1週間前には化成肥料50g程度を混ぜて畝を作る。この時植え付けの準備として混ぜる肥料を「元肥(もとごえ)」という。
カボチャを植える前に栽培した際の肥料が残っている場合は、蔓が茂りすぎて花が咲きにくくなることがあるので、元肥の肥料を何も入れずに始めた方が良い場合も多い。

苗づくり Edit

 遅霜の心配がなくなる4月中旬ごろ~5月に種子をまくと、低温障害に合いにくい。
ポリポットに土を入れて湿らせ、指で適度な深さの穴を作り、そこに種子をまく。播種からから2~3週間後に発芽する。
直まきでも育つが、一度ポリポットに種をまいて苗を成長させてから畑に植える方が確実である。伝統野菜などの珍しい品種は苗が販売されていないことも多いため、種子を購入して苗づくりから栽培を始める。なお、初めての栽培であれば果実の小さなミニカボチャがおすすめである。大玉のものと味は遜色ないし、栽培管理がしやすいためである。
カボチャの種子は大きいので、苗づくりを始めて行う際にはお勧めの作物である。なお、播種する前の夜に種子を水につけておくと、種子の殻が膨らみ、発芽率が上昇する。

苗の植え付け Edit

 播種から3週間後には、苗がしっかりと育っている。苗づくりの方法は前述したが、カボチャ栽培が初めての場合は、ホームセンターや園芸通販店で苗を買って植えるのがおすすめである。
カボチャに限らずすべての野菜に言えることだが、苗選びが今後の生育を左右するといえる。
以下は、苗選びの際の指針となる事項である。


●良い苗の場合
・根が白く、ポットの穴から飛び出していない
・子葉が枯れたり、虫に喰われていたりせず、残っている
・全体的に濃い緑色で茎が太くガッチリしている
●悪い苗の場合
・根が茶色くなっており、ポットの穴から飛び出している(=古い苗)
・子葉が枯れているか、虫に食われている
・全体的に黄色がかっており、ヒョロヒョロしている苗


 苗を植えるときは根を傷つけぬよう優しく植える。植え終わったら苗にホットキャップを被せ、保温する。

蔓の管理 Edit

 カボチャは強健な植物なので、蔓を伸ばしておいても果実を収穫できるまでには成長する*1が、基本的な管理としてここに記載させていただく。
まず一つは、「主枝仕立て」という方法である。
これは、伸びている親づる(=主枝)をまっすぐ一本に伸ばす方法。もっとも単純な仕立て方ではあるが、子づる(=わき芽)が発生するたびに除去していかなくてはならない。早くから収穫できる方法として知られる。8節目までに咲いた雌花は大きくならず、その部分についた花を放置しておくと株全体が疲れてくるので、早めに摘み取る。9~15節目に咲いた雌花に人工授粉させると、最もよい果実がとれる。1番目の果実が着果した後は子づるの発生も弱まるので、それ以降発生する子づるは摘除せずそのままにする。
次に紹介するのは、「側枝仕立て」である。
これは親づるについている葉が4枚になった時点で摘心してしまう方法である。これにより、行き場のなくなった養分が子づるに回され、次第に伸びてくる。子づるの長さが50㎝を超えだしたくらいで、状態の良いつるを3本選び、それ以外の子づるは除去する。選んだ3本の子づるを伸ばしていき、それぞれに着果させながら栽培していく。


蔓の這わせ方としては、地面に這わせるものと、ネットや支柱などに這わせる立体型のものがある。初めての場合は、支柱やネットに這わせる方がよい。蔓を地に這わせると果実が直に土に触れやすく、そこから虫に食べられたり、湿気によって腐ったりしやすいためである。なお、こうした問題は発泡スチロールの板やフルーツマット、藁を敷くことで防ぐことができる。

受粉 Edit

 畑で栽培する場合、放っておいても蜂などの昆虫が勝手に受粉して果実が育ってくれるが、マンションのベランダでの栽培の場合は昆虫が来ない場合もあるため、確実に果実を収穫するには人工受粉するのがよい。
雌花の近くにある雄花をとって、雄しべを雌しべに優しくつける。雌花には花の根本に丸みを帯びた形状の「子房」がついているので一目でわかる。朝6時~7時が最も受粉に成功しやすい。
人工授粉した雌花には交配した日を忘れないように日付けラベルなどをつけておくと、その後の収穫期の見極めに便利である。

玉直し Edit

 地這い栽培の場合、横に転がっている果実をまっすぐ上に立ち上げる。この時、勢い余って果梗を折ってしまうことがあるので、優しく持ち上げる。横になっていた際、地面にあたっていた部分は黄色くなっていることがある。これは、現時点でのカボチャの果肉の色を示すランドマークであるとされる。この黄色くなっている部分と普通の果皮の色の部分では食味に大差はないので、玉直しをしないこともある。

収穫 Edit

 西洋カボチャの場合、受粉からおよそ45日前後に収穫する。収穫のサインとしては、果梗(蔕)の部分が白く枯れてコルク状になり、横にも縦にもひびが入ったころが収穫に最適な時期である。
日本カボチャやペポカボチャの完熟果を利用する品種(金糸瓜など)の場合、受粉から25日~40日が収穫に最適とされる。但し、日本カボチャの場合、翌年に向けて種子をとる場合は受粉から50日後の方がよい。また、よく熟しているのでそちらの方が保存性もよく、風味も格段とよくなっている。
ズッキーニは若い果実を利用するので、受粉から1週間以内の果実を収穫する。とはいえ、一週間後だと果実が硬くなって風味が落ちやすいため、受粉から4日後の方が望ましい。
 収穫したカボチャは10日程度、風通しの良い場所に並べて乾燥させる。こうすることで、果実の糖度が高まって風味がよくなるほか、果梗の切り口がしっかり乾き、雑菌が入って早くに傷んでしまうのを防ぐことにもつながる。

病害虫・生理生涯 Edit

 カボチャは病害虫が少ないことは本ページの冒頭で述べたが、それでも病害虫には気を付けるべきである。
ウリハムシという害虫はカボチャ栽培の最初から最後に至るまで要注意である。これは一見すると赤茶色の甲虫を思わせる見た目で、カボチャの苗から成長した植物まで、とかく葉という葉を喰らいつくす。見つけ次第捕殺するべきである。
 カボチャの病気の中で、必ずかかると言ってもいい病気は「うどんこ病」でである。この病気の症状としては「うどん粉病菌」というカビの一種が伝染することによって発生し、葉が白いうどん粉をまぶしたような見た目になる。多少発生しても植物が弱り収穫量が減少する程度で、果実には大きな影響がない。ただ、罹患した葉はさらなる病気や害虫発生の温床になるので、罹患したものは放置せずに切り取り、生ごみとして処分する。
カボチャがかかる病気の中ではほかに、植物体、特に果実に湿ったような点ができてじわじわと広がっていく病気である「カボチャ疫病」や、葉が急に縮れたようになったり、細かい無数の黄色い点が大量にできたり、果実の形がひどくゆがんだりする「モザイク病」が知られている。こうなった場合、回復は絶望的なので、罹患した株は引っこ抜いて生ごみとして処分する。
畝を高くしておくことと、雑草を茂らせないことが、カボチャの病害虫を防ぐ早道である。
 病害虫以外にも気を付けることとして、直射日光により果実が日焼けすることがある。症状が軽い場合は果皮が少しくすんだ色合いになる程度だが、ひどくなるとそこから腐ったり、割れたりする。果実がある程度の大きさになったら、ボロ布やもう着なくなった古着を果実にかけてやると良い。近年はネットショッピングや種苗販売店で「カボチャ専用の日焼け防止テープ」が販売されている。
また、8月下旬~9月になると、果実の形状がゆがんでくることがある。これはたいてい、株が疲れてくることで起きる現象で、食味に影響はない。但し、葉や蔓が縮れたようになっているとモザイク病の可能性があるので、その場合は株ごと処分する。

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*1 品種によってはむしろ放任を推奨する品種もある

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